「ASDなそら」管理人のそらです。
ASD(自閉スペクトラム症)当事者の視点で、
仕事や生活に役立つ情報を発信しています!
ASD(自閉スペクトラム症)のある方は、
日常生活や職場などの場面で「感覚過敏」によって
苦しめられることが多いと思います。
- 感覚過敏によって体調を崩してしまう
- 集中力を奪われる
- 時に、パニックに近い状態になる

けれど、工夫次第でその苦しみを軽減し、快適に過ごす方法もあります。
この記事では、そんなASD当事者の方に向けて、
「感覚過敏」と付き合いながら集中力を高めるコツについてお伝えしていきます。
感覚過敏にはどんな種類があるのか?
まず、感覚過敏とひと口に言っても、
人によってその感じ方や影響は全く異なります。
- 視覚
- 「目」からの刺激
- 聴覚
- 「耳」からの刺激
- 触覚
- 「肌」への刺激
- 味覚
- 食べ物の「味」
- 嗅覚
- 「匂い」
ASDの方は、この中のいくつか、
あるいは全てに過敏さを持っていることがあります。
- 光がまぶしすぎて、気分が悪くなる
- 他人の話し声が、雑音にしか聞こえない
- 衣類のタグが肌に触れて、イライラする
- 特定の匂いで、気分が悪くなる など
また、複数の感覚が同時に過敏になってしまうと、
その負荷は一気に増します。
目も耳も疲れてしまって、
「もう限界!」と感じることもあるでしょう。

でも、安心してください。
環境を少し整えるだけで、
あなたの感じるストレスは大きく軽減されます。
そして、集中力も自然と戻ってきます。
机の上をきれいにする:視覚情報を最小限に
まずは、視覚過敏の対策からいきます。
ASDの方は、視覚的な情報の多さに圧倒されやすい傾向があります。

作業机の上に物が多いと、それだけで疲れてしまい、
頭の中がごちゃごちゃになります。これが集中力を削ぐ一因です。
- 机の上には「今、必要なものだけ」を置く
- 使用頻度の低いもの → 引き出しや収納ボックスへ
- 視界に入るポスター・貼り紙も最小限に
- 机の色や壁紙が派手な場合 → 布などでカバーして視界を落ち着かせる
職場であれば、引き出し・収納スペースがあるはずです。
不要なものを一度全部しまってから、
本当に必要なものだけを戻しましょう。

スマートフォンの電源はオフにする:視覚+思考の切断
スマートフォンは、現代人にとって欠かせないツールです。
しかし、ASD当事者にとっては「刺激の塊」です。
通知音、光、情報の洪水…
あらゆる面で集中力を削ってきます。

- 電源を完全に切る
- 操作不能になる → 触りたい気持ちを抑えやすい
- ロック付きケースにしまう
- 物理的に触れないようにする
- 別室に置く
- 物理的距離を作る → 心理的にも手放しやすくなる
おすすめのロック付きケースは⬇️
スマホは「手元にあるだけで脳のリソースを奪う」ことが科学的にもわかっています。
必要な場合だけ機内モード・オフライン機能を活用し、
それ以外ではできる限り距離を取りましょう。
機内モードを活用する:オフライン活用のすすめ
「機内モード」とは…
スマートフォン・タブレットなどの端末で
「通信機能を一時的にすべてオフにする」モードのこと。
【目印:飛行機のマーク ✈️ 】
どうしても「スマホを使いたい」作業がある(メモの確認、タイマー機能など)
⬇️
インターネット接続を遮断することで、
通知が来ることもなく、
集中を妨げられるリスクを下げられます。
- 音楽アプリでオフライン再生
- 動画のダウンロード再生
- メモアプリの閲覧
- スケジュール確認(カレンダーアプリ) など
使い方次第で「集中力の補助ツール」としての側面も持たせることができます。

(管理人)
注意点として、
「慣れてくると、解除したくなります」
長時間に及ぶなら、「電源を切る」ことをおすすめします。
スマホの画面を白黒にする:興味・関心を抑える
スマートフォンを使わないようにすることが難しい場合、
「画面を白黒(グレースケール)にする」という方法も効果的です。

することができます
カラフルな画面は脳を刺激し、注意が散りやすくなります。
ASD当事者の中には、色の強さや明るさによって疲れやすくなる方もいます。
そんな時、スマホの色を白黒に設定すれば、
通知やアプリに対する興味・関心を抑えることができ、
無駄なタップや時間の浪費を防ぐ手助けになります。
※設定の名称は、端末によって異なります。
機種名と「白黒モード」や「グレースケール」で検索するのがおすすめです。
雑音をシャットアウトする:聴覚過敏対策
職場やカフェ、公共の場所で作業していると、
「周りの音が気になって仕方ない」という人も多いはずです。
これは、ASDの方によくある聴覚過敏の典型例です。
- イヤーマフ(防音用)
- 音を物理的に遮断して、周囲の雑音を軽減
- ノイズキャンセリング機能付きイヤホン・ヘッドホン
- ノイズを電子的に消す
- ホワイトノイズを流す
- 一定のリズムで、集中を助ける
- 「音楽は歌詞なし」を選ぶ
- 脳の言語処理を使わないので疲れにくい
- ゲームなどのサウンドトラックが、おすすめ
音に対する刺激を減らすだけで、心の余裕が生まれます。
職場でイヤホン使用が禁止されている場合は、
上司に「感覚過敏でどうしてもつらい」と正直に伝え、
配慮を求めましょう。

私も、検査業務の際に
「周りの機械音が、集中力を削ってくるんです…」
そう伝えたら、ヘッドホンOKになりました。
実際にしてみたら、
過集中になったので、辞めました…
実際に使用している「ヘッドホン」⬇️
【レビュー記事はこちらから】
外出時におすすめな「骨伝導イヤホン」⬇️
【レビュー記事はこちらから】
視界を遮る:パーティションや仕切りの活用
周囲の動きが気になって目が泳ぐ、
視線を感じると集中できない…
そういうのもASDあるあるです。
そんな時に効果的なのが視界を遮る工夫です。
- 色付きのパーティションを使う
- 透明 → 効果が薄い
- 机の前・横に設置する
- 周囲の視線・動きをブロック
- DIYも可
- 100円ショップ・ホームセンターで手軽に手に入る
視覚情報を減らすことで「外部の世界」と一線を引くことができ、
安心感と集中力を得やすくなります。

会社によっては設置に許可がいる場合もあるので、まずは相談しましょう。

私も上司に話してみましたが、
諸事情で「できませんでした」…
代わりに「外向きに座る席」にしてもらいました。
(室内の様子が見えないように)
自分の「苦手」を把握しよう:感覚日記をつける
ここまで、感覚過敏への対処法を紹介してきましたが、
そもそも「自分がどの感覚に弱いか」を把握できていないと、
対策も立てにくいものです。
そのために有効なのが、感覚過敏日記です。
- どんな場面で不快に感じたか?
- どの感覚が原因だったか?
- どれくらいの時間続いたか?
- その後、どう対処したか?
- 効果はあったか?
こうした記録を毎日つけることで、
少しずつ「自分の感覚の傾向」が見えてきます。
そして、そのデータをもとに対策を立てれば、
かなりの確率で「生きやすくなる実感」が得られます。
元となった「3行日記」はこちらからご覧ください。

このおかげで、自分は元気に働けています
最後に:ひと手間が、あなたを守ってくれる
ASD当事者にとって、
「普通に集中する」というのは決して簡単なことではありません。
周囲が当たり前にこなしていることでも、
感覚過敏のある私たちには大きな負荷になります。

でも、それを「甘え」や「努力不足」として片づける必要はありません。
むしろ、そうした過敏さを理解し、
対策を講じていくことが、
あなたの本来の力を発揮するための第一歩です。
最後にもう一度お伝えします。
あなたが感覚過敏で悩むのは「あなたのせい」ではありません
それは脳の特性であり、どうしようもないこと。
でも「対策すること」はできます。
そのひと手間が、あなたを守り、集中力を保ち、安心できる毎日へとつながります。
どうか、自分を責めないでください。
そして、「できる工夫」を少しずつ、今日から始めてみてください。
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