「ASDなそら」管理人のそらです。
ASD(自閉スペクトラム症)当事者の視点で、
仕事や生活に役立つ情報を発信しています!
- 障害は個性だよ
- 見た目は普通だね
言葉だけ見れば、ポジティブな響きがあるかもしれません。
でも、当事者である私たちには、
こう思う瞬間もあるのではないでしょうか。
「そうじゃない。そんな簡単な話じゃないんだ」

障がいが「個性」であることは、間違っていないかもしれない。
けれど、そこに「生きづらさ」や「誤解」が積み重なっている現実を、
一体どれだけの人が、本当に理解しているのでしょうか。
「見た目」でしか判断されない社会
「見た目」だけで人を判断する
これは健常者・障害者問わず、社会の普遍的な習性です。
- 車椅子に乗っている
- 白杖を使っている
- 義肢が見える など
一目で「わかりやすい」サインがあります。
一方、発達障がいや精神障がい、知的障がいの場合、
外見だけではわかりません。「普通に見える」という外見に、
見えない苦労や違和感が隠れているのです。

しかし大半の人は、「見えなければ存在しない」と錯覚します。
存在が透明化され、無かったことにされるのです。
これは想像以上に、心をすり減らします。
声を上げる気力さえ奪われてしまうことも、珍しくありません。
恋愛と同じ? 〜「見た目より中身」が重要な理由
恋愛でよく聞きますね。
外見より中身が大事だよ
これはまさに、私たち発達障がい者にも通じる言葉です。
一目惚れで付き合った相手が、
後から「こんなはずじゃなかった」となることがあるように。

私たちもまた、外見だけで「普通」と誤解されたあとに、
周囲と摩擦を起こし、傷つくことがあるのです。
見た目は普通。でも、
- 雑音に圧倒されてしまう
- 空気が読めず、誤解を招いてしまう
- 冗談が本気に聞こえてしまう
そんな「中身」の違いが、少しずつ齟齬を生み出します。
しかし、私たちは嘘をついているわけではありません。
ただ、世界の見え方・感じ方が違うだけなのです。
表裏一体 〜見た目、中身、それぞれの功罪
ここで一度、整理してみましょう。
- 一瞬で判断できる
- 初対面で安心感を与えやすい
- 第一印象に縛られる
- 本当の苦労や個性を見逃される
- その人の深い魅力を知れる
- 本質的な関係を築ける
- 理解に時間がかかる
- 自他ともに「違い」に傷つくことがある
私たちは、この表裏一体の世界を
生き抜いていかなくてはなりません。
理解には「時間」が必要
ここで、重要な気づきがあります。
人は「時間がない」から、見た目だけで判断してしまう
これは健常者に限った話ではありません。
私たち発達障がい者も、同じ過ちを犯すことがあります。
1万人に1人しかいない希少疾患の人のことを、
どれだけ本気で理解しようと思えるでしょうか?
「時間がない」
「自分のことで精一杯」
「興味を持つ余裕がない」

──これが現実です。
だからこそ、私たちが傷ついたとき、こう考えてみてください。
「理解がない=悪意」ではない。
単に『時間と関心』の問題かもしれない。
そう思うだけで、ほんの少し、心が軽くなりませんか?
私たちができることとは?
正直に言います。
私たち発達障がい者が社会を変えるには、時間も労力も足りません。
メディアに出る?講演をする?
素晴らしいことですが、それはほんの一握りの人たちに許された道です。
では、もっと現実的で、確実な方法は?
それは「個性」と「得意」を徹底的に磨くことです。

あなたの中に眠る「唯一無二」の武器
発達障がいを持つ私たちは、
生まれながらにして突出した個性を持っています。
- 集中力が異常に高い
- 細部にこだわる
- 記憶力が鋭い
- 感受性が豊か
- 特定の分野に異様な情熱を持つ
逆に言えば、
興味のないことには信じられないほど無関心だったり、
ルールや常識に対して直感的な違和感を抱くこともあります。
これらを「欠点」だと感じる場面も多いでしょう。
しかし、裏を返せば、他人にはない才能とも言えます。
どう「個性」を磨くか
1. 好きなこと、得意なことを徹底的に掘り下げる
興味があるなら、誰よりも深く学ぶ。
周囲が呆れるくらい、没頭する。
それがあなたの「武器」になります。

2. 小さな成功体験を積み重ねる
- 本を1ページ読むことができた
- 興味ある勉強が30分できた
- 日記を書くことができた
どんなに小さな一歩でもOKです。
積み重ねれば、やがて「自信」に変わります。
3. 無理に「万能」を目指さない
苦手を克服するより、得意を伸ばす。
自分が活きる「場」を探し続ける。
この戦略は、社会で生き抜くために極めて合理的です。

それでも苦しいときは、立ち止まる勇気を
もし今、何もできないと感じるなら。
焦らなくていい。
自分を責めなくていい。
ただ、「好きなこと」を思い出してみてください。
- 子どもの頃、夢中になったもの
- 最近、ちょっと楽しいと感じた瞬間
そこからで十分です。
エネルギーは、かならずまた湧いてきます。
まとめ〜 あなたの「違い」は、未来への切符
あなたの中の違和感、違い、やりにくさ。
それらすべては、あなたを苦しめるものであると同時に、
未来を切り開く武器にもなり得ます。

世間の「普通」になろうとする必要はありません。
今日この瞬間から、あなた自身を信じてください。
そして、ひとつひとつ、
あなたの中の「得意」「好き」「違い」を、磨き続けてください。
あなたには、あなたにしか歩めない道があります。
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