「ASDなそら」管理人のそらです。
ASD(自閉スペクトラム症)当事者の視点で、
仕事や生活に役立つ情報を発信しています!
- そんなルール聞いてないよ…
- 言ってくれなきゃわからないよ…
- なんで注意されなきゃいけないの?
もし一度でもこう感じたことがあるなら、
あなたは「暗黙のルール」に苦しんできたのかもしれません。
そして、その苦しみの背景には、
ASD(自閉スペクトラム症)という特性が深く関わっている可能性があります。
- 暗黙のルールとは何か
- なぜ、ASD当事者はつまずきやすいのか
- どう乗り越えていくか
暗黙のルールとは?
まず「暗黙のルール」とは何かをはっきりさせましょう。
- 明文化されていない
- 誰もが当然のように守っている
- 口に出さない
- 「察する」ことを求められる
- 誰かが決めたわけではない
- 「みんながそうしているから従うべき」とされる
- 会議中は上司の意見に異を唱えない
- 昼休みに1人でいると「協調性がない」と思われる
- お菓子をもらったら、次は自分が配るべきだと期待される
これらはマニュアルにも書いてありませんし、
入社初日に教えてもらえることでもありません。
なのに、守れていないと注意される。
理不尽に感じたことはありませんか?

ASD当事者が直面する「見えない壁」
ASDの特性を持つ人の多くは、暗黙のルールに特に苦しみます。
理由は大きく3つあります。
1. 明文化されていないこと=「存在しないもの」と捉えてしまう
ASD当事者は、曖昧な情報や抽象的な表現が苦手です。
「言われていない=やらなくていい」と思うのは、むしろ自然な認識です。
ですが、実際の社会では
「空気を読む」「みんながそうしているから従う」というルールが多数派です。
このギャップが、誤解や摩擦を生んでしまいます。

2. なぜ、そのルールがあるのか分からない
「なぜそんなルールが必要なの?」と疑問に思っても、
周囲は「みんなそうしてるから」としか答えません。
納得できないまま注意されることに、
強いストレスや不安を感じてしまいます。
「説明してほしいだけなのに、怒られるなんて…」
この気持ちはASD当事者ならではの葛藤です。

3. 経験を「つなげて学ぶ」のが苦手
ASDの特性には「中枢結合の弱さ」があります。
これは、複数の情報を結びつけてパターンを見出す力が弱いということです。
たとえば…
『Aの場面で注意された。似たようなBの場面にも気をつけよう』
そういう応用が効きにくい。
結果として、同じようなことで何度も注意される。
それは「学習できていない」のではなく、
「経験を結びつけにくい脳の仕組み」の問題なのです。
より詳しく知りたい方は、以下の動画をご覧ください⬇️
経験:「なんで教えてくれないの?」という想いの裏側
私自身も、就労移行支援の訓練中や職場で
「それ最初に言ってよ…」と思うようなことを何度も経験してきました。
- 会議中に『断りを入れずに』お茶を飲んだ
- お菓子を分ける習慣を知らなかった
- 朝礼の際の立ち位置・挨拶の順番
- 細かい身だしなみの基準
それらは一切説明されませんでした。
注意されたときに、
「〇〇ということだから、気をつけて」とだけ言われても、
何をどう気をつけたらいいか分からない。
その上、納得がいかない。
結果、心の中には「自分が悪いのか」「また失敗した」といった
罪悪感が積もっていく。気づけば、
自信も自己肯定感もボロボロになっていました。

解決策は「経験」しかないのか?
私が信頼している心理士さんや主治医から返ってきた言葉は、
意外にも共通していました。
「経験して覚えていくしかないよ」
最初は「そんな無責任な…」と思いました。

でも今は、その意味が少しだけ分かってきた気がします。
ASD当事者にとって暗黙のルールとは、
いきなり理解するものではなく、
「ぶつかって、学び、少しずつ知っていく」ものだからです。
暗黙のルールはRPGのようなもの
私はこれを「RPG(ロールプレイングゲーム)」になぞらえて考えるようにしました。
- いきなり強敵(=知らないルール)に出くわす
- 負ける(=注意される・失敗する)
- 敵の行動パターンを分析する(=なぜダメだったか考える)
- 次は勝てるように準備する(=似た場面に備える)
この繰り返しで、少しずつ「攻略」していく感覚。
RPGだと思えば、失敗も経験値。
自分がレベルアップするための材料になる。

そう考えるようになってから、気持ちが楽になりました。
結果より「過程」が大切な理由
ASDとともに生きる私たちは、物事の過程をとても大事にします。
「なぜそうするのか」「どんな意味があるのか」を理解しないと動けないし、
動きたくない。裏を返せば、
ちゃんと理由が分かれば、丁寧に取り組むことができるのです。
でも、社会は「結果がすべて」の世界です。
どれだけ丁寧にやっても、結果が出なければ評価されません。
このギャップが、私たちをどれほど苦しめてきたか──

学校でも、職場でも、「手順通りやって何が悪いの?」という想いが
否定されることは多かったと思います。
でも、その「手順」を守る姿勢は、私たちの強みでもあります。
それでも社会で生きていくために
現実として、すべての職場で「ASD当事者に合わせてくれる」
そんなわけではありません。
だからこそ、自分の特性を理解し、
「どうすれば自分が心地よく働けるか」を把握しておくことが大切です。
- 初めての職場では「明文化されていないルールがあるか」を最初に聞く
- 注意されたことをノートに書き、理由・対策を自分なりに分析する
- 障がいに理解のある人と、相談しながらもよい
- どうしても合わない環境なら、異動や転職も視野に入れる
それでもどうしても会社組織での生きづらさが強ければ、
私は「個人事業主」「フリーランス」という選択肢もあると思っています。
- ブロガー
- ライター
- イラストレーター
- 動画編集
- ハンドメイド など

最後に:あなたは悪くない
暗黙のルールを破ったからといって、
あなたの人間性が否定されたわけではありません。
ただ単に「そのルールを知らなかった」だけ。
そして、それを「ちゃんと説明してもらえなかった」だけなのです。
ASD当事者が社会で生きるには
「理解される環境」「自分を知る力」「失敗してもいいという許容」が必要です。
あなたは、あなたのペースで、あなたの方法で成長していいのです。
この記事を読んで「わかる!」と思った方、
「自分はこうして乗り越えてきたよ」という経験がある方、
よろしかったらコメントで教えてください。
一人の声が、誰かの生きやすさに繋がります。
私たちは一人じゃないし、仲間がいます。
あなたの人生にも、必ず次の「レベルアップ」が待っています。
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