障害者雇用で働き続けるために必要なこと

はたらく

「ASDなそら」管理人のそらです。

ASD(自閉スペクトラム症)当事者の視点で、

仕事や生活に役立つ情報を発信しています!

こんな気持ちを抱えていませんか?

やっと働けるようになった。

でも、正直まだ不安が多い…

これは、私自身がかつて強く感じていたことでもあります。

「就職できた=ゴール」ではありません。

厳しいですが、スタートラインに立っただけなのです。

ASD(自閉スペクトラム症)の当事者として、

障害者委託訓練を経て就労に至った私の実体験をもとに

「働き続けるために必要だったこと」「うまくいかなかった部分」など

包み隠さずお伝えします。

どんな小さな一歩でも、前に進もうとするあなたの背中を押せたら嬉しいです。


※この記事では「本業」つまり
 「障害者雇用の枠で働く仕事」についてお話しします。
 副業については触れませんのでご了承ください。


障害者委託訓練とは?

まず私が利用したのは「障害者委託訓練」と呼ばれる制度です。

これは、障がいを持つ人が社会で自立し、

仕事に就くためのスキルを身につけるための訓練制度です。

特徴
  • 内容:事務作業、軽作業、接客、清掃など様々
  • 訓練期間:原則3ヶ月
  • 障害の種類・特性に応じた配慮がある
  • 終了後:企業への就職支援もあり

厚生労働省より

私はこの制度を利用し、

ある企業で3か月間「事務補助業務」を体験しました。

このような形式での訓練もあります

体験した業務:想像していた「事務」とは違った

「事務」というと、

パソコンの前で一日中書類作成をしているイメージがあるかもしれませんが、

私がやったのは実際には以下のようなものでした。

実際の作業(一部)
  • PCでのデータ入力(Excelなど)
  • 書類の回収(自転車で移動)
  • 清掃業務(社内を動き回る)

正直に言えば「これってマックジョブに近いのでは?」と感じました。

マックジョブとは?

マクドナルドなどでのアルバイトに代表される、
誰でも短期間で覚えられるルーチンワークのこと。
ChatGPTにも聞いてみたところ
短時間勤務・柔軟性が高いが、成長性はあまり期待されない仕事」と説明されていました。

私のやった仕事も、基本を覚えてしまえば

特別な判断力や応用力を求められない内容が中心でした。


「最初はマックジョブでいい」という考え方

ただ最初の仕事としては、これで良かったと今では思います。

理由
  1. やるべきことが明確で、不安が少ない
  2. 少しでも「できた」が積み重なると自信になる
  3. 職場の人との距離感をつかむ練習になる

ASDの特性として

「曖昧な指示が苦手」「複数の情報を同時に処理するのが難しい」がありますよね。

私もまさにその通りで、

最初から複雑な業務に就いていたらきっとパンクしていたでしょう。

マックジョブ的な業務でも

「責任を持ってやる」という経験は、立派な社会経験です。

「経験そのもの」が大切なのです

でも、この仕事を10年はできないと思った理由

ただし、私の中にあるモヤモヤは徐々に大きくなっていきました。

そら
そら

この仕事、10年後もやっていたいか?

答えは「NO」でした。

理由
  • 年功序列が色濃く残る職場
  • スキルアップの余地が少ない業務内容

特に私の場合、上司との年齢差がかなり大きく、

「この人たちと同じように年を重ねた自分」を想像できなかったのです。

若さは限りある資源。雑用だけに時間を費やすわけにはいかない。

そんな気持ちが膨らんでいきました。


「理解」ではなく「支援」が必要だと気づいた

ここで、大きな気づきがありました。

「障害者には『理解』が必要」とよく言われます。

でも実際は、それだけでは不十分です。

理解」のその先に「支援」が必要なのです。

ASD特性をどれだけ理解してもらっても、

それに対する具体的なサポートがなければ働きづらさは変わりません。

私が働きやすくなるために、

上司に求めたのは以下のようなことです。

働きやすくなるためにしていること
  • 日誌などでの情報共有
  • 不安をすぐに相談できる空気
  • 業務の優先順位を一緒に確認する
  • 指示が曖昧なときは、具体化してもらう

こうしたことがあるだけで、安心感がまったく違います。


上司に伝えたい:障害者雇用のすすめ

障がい者雇用を成功させるには「上司の動き方」が非常に重要です。

上司の方々へ向けて
  1. 障害特性をしっかり把握する
  2. 実際に会って話す・働かせてみる
  3. 感想や課題を本人から聞き出す
  4. 良いところは伸ばし、苦手なことは支援する
  5. 本人に合った仕事の割り振りを行う

本人の努力だけではどうにもならない部分がたくさんあります。

だからこそ「環境を整える」という意味で、上司の存在が不可欠です。


ASD当事者に伝えたい:「自分の特性」を伝える勇気を

では、当事者である私たちにできることはなんでしょうか?

できること
  • 就労支援機関と連携して、企業を探す
  • 実習や見学の際には「直感」を大切にする
  • 合わないと感じたら「無理に続けず」一度立ち止まる
  • 上司に自分の状態や希望を「遠慮せず伝える」
  • 支援者(家族も加えて)と定期的に振り返る

これはPDCA(Plan-Do-Check-Act)サイクルに似ています。

「やってみて、振り返って、改善する」

これを続けていくことが、働き続けるためには欠かせません。


最終的に就職した…けれどもモヤモヤはある

私は、訓練を経てそのまま訓練先の企業に就職しました。

人間関係も良好、業務内容も合っていて、環境も快適。

文句はほとんどありません。

でも「この会社で定年まで働くか?」と聞かれたら、

やはり答えは「NO」です。

なぜなら、自分には「自分よりも困っている人のために役立ちたい」という

強い貢献感があるから。

私が生きる意味は、おそらく「ただ働くこと」ではないのです。


最後に:あなたが選んだ道は間違いじゃない

今、働けるようになったあなたが抱く不安や迷いは、すべて“前に進んでいる証拠”です。

うまくいかないことがあっても、

それは「失敗」ではありません。「調整」です。

あなたのやり方、あなたのペースで、着実に一歩ずつ進めばいいのです。

もし今の職場が合わないと感じたなら、それを否定する必要もありません。

あなたの人生は、あなたのものです。

進む道を選ぶ権利が、あなたにはあります。


ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

ご意見やご感想があれば、ぜひコメント欄にて教えてください。

あなたの一歩が、誰かの一歩にもつながります。

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