ASDの困りごとと職場での対処法

はたらく

「ASDなそら」管理人のそらです。

ASD(自閉スペクトラム症)当事者の視点で、

仕事や生活に役立つ情報を発信しています!

あなたは働いていて、

もしくは就労移行支援・就労継続支援で訓練しているとき、

こんなことを言われた経験はありませんか?

これ、どうにかなりませんか?

なんだか曖昧で、モヤモヤするこの言葉。

この言葉の裏には、相手の「期待」が詰まっていることが多いです。

でも、その「期待」は説明されないことも多く、

私たちASD(自閉スペクトラム症)の当事者にとっては、

非常にやっかいなものです。

ASDのあるある
  • あいまいな指示がわからない
  • 暗黙のルールがわからない
  • 急な変更に対応できない

上記のいずれかを経験したことがある方も多いはずです。

でも、これは「ずっと変えられないもの」ではありません。

自分自身で工夫することもできるし、

信頼できる人の助けを借りることで、

より早く・確実に「対処できる自分」に変わっていくことができます。

この記事では、下記をわかりやすくお伝えします
  • 私が就労移行支援を利用していたときの「具体的な出来事」を紹介
  • どうやって問題を乗り越えたか
  • どうすれば働きやすくなるか
  • ASDの特性を持つ人が安心して仕事に取り組むための方法

エピソード1:「書いてあることと違う」

私の通っていた就労移行支援では、

企業向けの納品作業をおこなっていました。

そこでのルール
  • 使う段ボール箱が決まっている
  • 「捨てる」「取っておく」のルールがある
  • 基本的には目印が貼られている
    • 例:「指定の数入っていたら、物が入っていた段ボールは『捨てる』『取っておく』」

ある日。

その目印に「ダンボールすてる!」と大きく書かれていたので、

私はそれに従って作業終了後に箱を解体して処分しました。

ところが…

ベテランの<br>利用者さん
ベテランの
利用者さん

それ、処分しちゃいけないよ

当時のそら<br>(管理人)
当時のそら
(管理人)

えっ?目印には『捨てる』って書いてあったけど…?

そう思いながら確認してみると、

実はその日は段ボールの在庫が不足しており、

原則として「どんな指示があっても『取っておく』が優先される」という

暗黙のルールがあったのです。

私はそれを知りませんでした。

つまり、

「見えているルール(明示された指示)」と「実際にやるべき行動(現場の優先事項)」に

ズレがあったのです。


このように、ASDの特性上、

「書かれていることをそのまま実行する」ことは得意でも、

「その背景にある事情」や「臨機応変な判断」が求められると、

うまく対処できないことがあります。

中には、パニックになることも…

幸い、このときは段ボールだったので、

修復も可能で大きなトラブルにはなりませんでした。

その後、私は職員さんに直接確認し、

ルールの変更や「例外」があったときは

必ず一言伝えてもらえるよう、お願いしました。


エピソード2:「色々やらされて」

また別の日。

私はPC作業に取り組む予定で、課題をこなしていました。

すると、職員さんから突然こう声をかけられました。

人が足りないから、掃除を手伝ってくれない?

その場で快諾し、掃除に参加。

そして元のPC作業に戻り、無事課題も終えて、

印刷を済ませたところで、また声がかかります。

別の職員さん
別の職員さん

企業に納品する作業が終わらなさそうなので、
手伝ってくれない?

途中までは「よし、頑張ろう」と前向きに取り組んでいました。

しかし、納品作業が終わりに近づいたころ、

急にフラフラしてきて体が動かなくなりました。

当時のそら
当時のそら

でも終わらせないと…

そう自分にムチを打ってなんとか作業を終えましたが、

完全にキャパオーバー。

終礼まで休憩をとらざるを得なくなりました。

これは「想定外のタスク」が立て続けに来たことによるパンクです。

しかも、頼まれたら断れない、

そんな自分の性格も影響していたと思います。


解決法:どうすればこのような状況を防げるのか?

① あいまいな言葉を「はっきりさせる」

ASD当事者は、曖昧な言葉にとても弱いです。

例えば…
  • 「これ、あれ、それ、どれ」
  • 「ちょっと、軽く、適当に」
  • 「いつもの感じで」

こういった表現は、具体性がないため、

何をしたらいいのか分からなくなってしまいます。

こんなときは、

こそあど言葉(これ、それ、あれ、どれ)を使わないで説明してもらいましょう。

例えば…
  • 「段ボールを『右側の棚の下段』に置いてください」
  • 「10個入っていたら『処分』5個以下なら『保管』です」

こういった「数字」や「場所」がはっきりした指示なら、迷いようがありません

もし、曖昧な指示が出たときは、勇気を出してこう聞いてください。

すみません、具体的にどうすればいいですか?

この一言で、失敗のリスクがぐんと減ります。

アドバイス
そら
そら

遠慮せず「素直に」伝えましょう。
「自分のため」でも「相手のため」でもあります。


② 暗黙のルールは「その都度聞く・メモする」

社会や職場には、たくさんの「暗黙のルール」があります。

暗黙のルール(一部)
  • 他人の発表中に、水を飲まない
  • 静かな場面では、声を小さくする
  • 上司が帰るまで、帰らない雰囲気がある

でも、こうしたルールは文字で書かれていません。

ASD当事者が最もつまずきやすいのが、

こうした「見えないルール」です。

だからこそ「知っている人」に聞くのが一番確実です。

「暗黙のルール」をよく知る人
  • 信頼できる職員さん
  • よく一緒に作業している先輩利用者
  • 障害者雇用の上司・リーダー など

「今のってどういうルールですか?」と聞くことで、
次から同じことで悩まずに済むようになります。

一度聞いた内容は、メモ帳やスマホに記録しておくのもおすすめです。

書くことで、忘れにくくなります

③ 急な変更を防ぐ「予定の固定化」

予告なく予定が変わると、ASD当事者は強いストレスを感じやすいです。

そのため「あらかじめ予定を決めて、変更しないこと」が大切です。

例えば…
  • 毎日の「タイムスケジュールを固定」する
  • 午前中は作業、午後は軽作業などの「パターンを作る」
  • もし変更が必要なときは「前日などに事前に伝えてもらう」

予定を変えられないことが

「融通がきかない」と誤解されることもありますが、

それは、あなたの特性に合った『合理的配慮』です。

合理的配慮、とは

障害のある人が他の人と平等に社会参加できるように、
個別の事情に応じて行われる適切な対応や調整のこと。
例:意思を伝え合うために、絵・写真のカードやタブレット端末などを使う
内閣府より


④ 疲れは「見える化」して自己管理する

ASDの人にとって、「疲れ」は感じづらい、

あるいは限界まで気づかないことがよくあります。

そんなときは、自分の疲れを数字や言葉で表してみましょう。

例えば…
  • 数値化:0〜10で疲れ度をつける
  • 形容詞化:「元気」「少し疲れた」「まあまあ疲れた」「限界!」

こうすることで「今自分がどのくらい疲れているか」を

客観的に把握できるようになります。

おすすめは、以下の記事で紹介している「ひろうカウンター」の活用です。

この工夫で、自分のペースを守りながら働くことができます。


最後に:「 自分の力 + 他人の助け 」で、仕事はラクになる

いかがだったでしょうか?

ASDの特性があると、

社会のルールや職場の空気にうまく適応できず、

苦しい思いをすることもあると思います。

しかし、それは自分から」変えていくことができます。

とても大切な2つ
  • 自分自身の気づき・工夫
  • 信頼できる他人の力を借りる

私は今、周りの人の協力を得ながら、

自分に合ったやり方で無理せず働けています。

もし、今の環境があなたに合っていないと感じるなら、

無理にそこでがんばる必要はありません。

環境を変えることは「逃げ」ではなく、「戦略」です。

そして、もし「誰かに頼りたい」と思ったときは、

私のようなASD当事者の経験者を頼ってくれてもかまいません。

あなたは一人じゃありません。

一歩ずつ、自分に合った働き方を見つけていきましょう。応援しています。(^^)

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