「ASDなそら」管理人のそらです。
ASD(自閉スペクトラム症)当事者の視点で、
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発達障がいとともに生きる私たちにとって、
大きな特徴のひとつに「変化に弱い」ということが挙げられます。
- 環境のちょっとした変化に戸惑う
- パニックになってしまう
日常生活を送る上で、これが障壁になることは少なくありません。
ですが私は、こう考えました。
「変化しない日常を、自分で設計すればいい」
その具体的な手段が「1日のルーティンを固定する」という方法です。
私自身の経験を交えながら、
- ルーティンを固定することのメリット
- 具体的な作り方
- 働き始めた後にも応用できる方法について
じっくりとお伝えしていきます。
変化に弱い私たち
まず、発達障がい者にとって「変化」がどれほどストレスになるか、
改めて整理してみましょう。
- 家具の配置を変えられる
- どこに何があるかわからなくなる ➡️ 混乱してしまう
- 通い慣れた道ではない別ルートを使う
- 道に迷ったような感覚になる ➡️ パニックになる
- 突然予定が変わる
- どう行動すればいいか分からず、固まってしまう
私自身、勝手に部屋の模様替えをされたり、
予定を直前に変更されたりすると、
パニックになったことがありました。
最初は小さな苛立ちでも、積もり積もってある日爆発してしまう─
そんな経験を何度もしてきました。

これは「わがまま」でも「心が狭い」のでもありません。
脳の特性として、急な変化を処理することが非常に難しいのです。
だからこそ、自分で環境をコントロールし、
できる限り変化を最小限にする必要があるのです。
ルーティンの力を信じる
ここで私は、発想を転換しました。
「毎日をほぼ同じ流れで過ごせば、変化に振り回されることはないのでは?」
つまり、自分で「日課」を決め、それに従って動くのです。
これが、ルーティン(ルーチン、ルーティーン)を固定するという考え方です。
- 何をすべきか考える負担が減る ➡️ 脳のエネルギーを温存できる
- 「次に何をすればいいか分からない」という不安が消える
- 成功体験を積みやすくなる ➡️ 自信が育つ
- 不意な変化にも「固定された基本形」があることで、冷静に対応できる
つまり、ルーティンとは単なる「繰り返し作業」ではなく、
発達障がい者にとっての「鎧」であり「拠り所」なのです。

私の就労移行支援時代のルーティン
実際に、
私が就労移行支援を利用していた頃の
1日の流れをご紹介します。
これにより、ルーティンの実例を具体的に
イメージしてもらえたらと思います。
- 6:00頃 起床
- 洗顔・歯磨き(約10分)
- 昼食用のお弁当作り(約20分)
- 7:00頃 朝食
- 8:00過ぎ 出発、徒歩で事業所へ向かう
- 9:00 ラジオ体操+朝礼(作業内容の確認)
- 9:15〜12:00 午前の作業(休憩を挟む)
- 12:00〜13:00 昼食+休憩(仮眠・雑談など)
- 13:00〜15:30 午後の作業(午前と異なる内容)
- 15:30〜16:00 事業所内の清掃・終礼
- 16:30 帰宅
- 家事(弁当ケース洗い・洗濯物など)
- 入浴
- 自由時間(読書・ゲーム・勉強など)
- 夕食
- 22:00頃 就寝
これを、ほぼ毎日、同じ流れで繰り返していました。
小さな差異はあっても、「大枠」が決まっていることで安心感が生まれ、
心が安定していたのをよく覚えています。
イレギュラー対応のコツ
もちろん、完全に変化をゼロにすることはできません。
- 終礼後に、急に外出する用事ができる
- 予定していた作業が変更になる
そんなとき、どうするか。
答えはシンプルです。
「事前に分かっていれば、大丈夫」
私たちは、突発的な変化に弱いだけで、
数日前から情報があれば、心の準備をして対応できる力を持っています。
ですから、イレギュラー予定も、
「カレンダーに書き込み、繰り返し確認する」
これを徹底することで、驚くほど安定感が違ってきます。

休日も同様です。
できるだけ「何をするか」を前日夜には決め、当日はそれに従う。
そうすることで、休みの日特有の「何していいか分からない不安」からも解放されます。
社会人になってからも
働き始めた今も、基本的なルーティンはほとんど変わっていません。
- 出勤時間が早まったこと(9:00 → 8;30)
- 作業が「業務」になり、責任が増したこと
- 帰宅時間が遅くなったこと(16:30 → 17:50)
それ以外、朝起きてから夜寝るまでの「流れ」はほぼ同じ。
なので、仕事がきつい日でも、
ある程度自動的に動くことができ、心を守ることができています。

朝時間の「選択と集中」
ルーティンを作る上で、特に重要なのが朝の時間の使い方です。
朝は「エンジンがかかるまで」が勝負。
ここでモタモタすると、1日中リズムが狂ってしまいます。
そんなことは、したくありませんよね?

そこで私は、次のようなルールを作りました。
- 起床直後にするべきことを、すべてリストアップ
- やるべき順番を明確に決める
- スマホなど誘惑は、最初は絶対に触らない
- 必要な行動以外は、すべて後回しにする
そうしたうえで、今はこうしています。
① | スマホ充電開始(操作はしない) |
② | 洗顔 |
③ | 歯磨き |
④ | 弁当作り |
⑤ | 朝食 |
⑥ | ここで初めてスマホ操作 |
こんな具合です。
これを守るだけで、朝のスタートが劇的にスムーズになりました。
大切なのは「考える前に、決めた順番で動くこと」です。
まとめ〜ルーティンは「自分を守る盾」
発達障がいとともに生きる私たちにとって、
ルーティンとは「自分を守るための盾」だと、私は思います。
変化に振り回されていた過去の私が、
ルーティンを身に着けたことで、
毎日を安心して生きられるようになりました。

最初は大変かもしれません。
うまくいかない日もあるでしょう。
ですが、少しずつ「実行と改善」を重ねれば、
必ずあなた自身にフィットしたルーティンが作れます。
焦らず、無理せず、でも前向きに。
今日できることを、ひとつずつ。
それが、発達障がいとともに、
充実した毎日を生きるための最初の一歩なのです。

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