
「ASDなそら」管理人のそらです。
ASD(自閉スペクトラム症)当事者の視点で、
仕事・生活に役立つ情報を発信しています(^^)

就労移行支援という言葉を聞いたことはある。
けど、わからないことだらけ…
- 実際にはどんな制度なのか
- 利用すると、どんな変化があるのか
そんな方も多いと思います。

(管理人)
「制度の説明だけ」ではイメージが湧きにくいし、
逆に「体験談だけ」だと全体像がつかみにくい、ですよね…
そこで本記事では「制度の基礎情報」「実際に利用した体験談」を織り交ぜながら、
「利用開始から卒業まで」の流れを一つの記事にまとめました。
これを読むことで、就労移行支援の全体像がクリアになり、
次の一歩を踏み出す参考になるはずです。
「就労移行支援」とは(厚生労働省HPより)
制度の概要(原文引用)
就労を希望する障害者であって、
通常の事業所に雇用されることが可能と見込まれるものにつき、
生産活動、職場体験その他の活動の機会の提供
その他の就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練、
求職活動に関する支援、その適性に応じた職場の開拓、
就職後における職場への定着のために必要な相談その他の必要な支援を行います。
(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/service/naiyou.html)

(管理人)
つまり
「働くための練習から、仕事を見つけて長く続けるまでを助ける制度」です。
対象となる人(原文引用)
就労を希望する65歳未満の障害者であって、
通常の事業所に雇用されることが可能と見込まれる者。
具体的には次のような例が挙げられます。
(1) 就労を希望する者であって、単独で就労することが困難であるため、
就労に必要な知識及び技術の習得若しくは就労先の紹介その他の支援が必要な者
(2) あん摩マッサージ指圧師免許、
はり師免許又はきゅう師免許を取得することにより、就労を希望する者
※ ただし、65歳以上の者については、
65歳に達する前5年間(入院その他やむを得ない事由により
障害福祉サービスに係る支給決定を受けていなかった期間を除く)に引き続き
障害福祉サービスに係る支給決定を受けていたものであって、
65歳に達する前日において就労移行支援に係る支給決定を受けていた者に限り対象とします。
(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/service/naiyou.html)

(管理人)
簡単に言うと、
「65歳未満で、
働く練習/サポートが必要な障害のある人が対象」です。
費用(表引用)
区分 | 世帯の収入状況 | 負担上限月額 |
---|---|---|
生活保護 | 生活保護受給世帯 | 0円 |
低所得 | 市町村税非課税世帯 | 0円 |
一般 | 市町村民税課税世帯 (所得割16万円未満) ※ 以下は除く ・入所施設利用者 (20歳以上) ・グループホーム利用者 | 9,300円 |
〃 | 上記以外 | 37,200円 |

(管理人)
利用して分かったのは
「ほとんどの人は無料で使えている」ということです。
利用料を払っている方は「利用以前」
「普通の会社で働いていた経験」がありました。
他の障害福祉サービスとの違い
「普通の会社はまだ難しい」けど、
「支援を受けながらなら働ける」人のための仕組み
雇用契約あり・より仕事に近い形・期限あり(〜65歳)
「普通の会社は難しい」けど、
「作業/活動を通じて力をのばしたり」「維持したり」できる場
雇用契約なし・自由度高め・無期限
「普通の会社で働くため」の練習/サポートをしてくれる制度
雇用契約なし・より仕事に近い形・期限あり(〜65歳、最大2年間)
私の体験談
私が初めて「就労移行支援」を知ったのは、
発達障害者支援センターです。
「働いてみたい」という意思を伝えてみると、
「こんな制度があるよ」ということだったので、
その場で見学を申し込みました。
実際に行ってみると、
「パソコン訓練をしている方」「簡単な作業をしている方」
「施設外で清掃しているチーム」など、様々なことをしていました。
中には「職員相手で面接練習をしている方」もいて、
「しっかりサポートしてもらえるんだな」と感じました。
利用開始までの「流れ」
- 診断/障害者手帳
- 就労移行支援を利用するには「診断/手帳が」「必ず必要ではありません」
- ある場合|利用開始までスムーズにできる
- 「医師の意見書/支援機関の推薦が必要」になることもある
- 就労移行支援を利用するには「診断/手帳が」「必ず必要ではありません」
- 見学
- 1時間程度で「支援内容/作業の様子」を確認できる
- 1時間程度で「支援内容/作業の様子」を確認できる
- 体験利用
- 多くの事業所は数日間の体験を受け入れている
- 実際に作業を体験して雰囲気をつかむ
- 実際に作業を体験して雰囲気をつかむ
- 多くの事業所は数日間の体験を受け入れている
- 利用申請
- 市区町村に申請する
- 「障害福祉サービス受給者証」を取得
- 申請から取得まで「1〜2か月」かかる
- 申請から取得まで「1〜2か月」かかる
- 事業所と利用契約を結ぶ
詳しくはこちらから((2)訓練等給付を希望する場合)
私の体験談
見学の後「5日間の体験実習」をしました。
最初は不安強めでしたが、時間が経つたびに
「ここなら安心して通えそうだ」と確信に変わっていきました。
それもそのはず、職員さんも利用者さんも
優しく接してくださったことが印象に残っています。
先ほどの発達障害者支援センターに行った時点で、
障害者手帳(精神障害者保健福祉手帳)を取得していたため、
見学から利用開始までの空白期間は「半年」と、短めだったと思います。
通所中の「生活」
1日の流れ(私の場合)
- 朝礼|体調確認、予定確認
- 午前|作業訓練
- 昼休憩
- 午後|作業訓練
- 終礼|振り返り
訓練内容(私の場合)
- 簡単な作業
- 部品の組み立て、分解など
- 施設内・外の清掃
- パソコン
- Word、Excel、タイピング など
- ビジネスマナー
- 挨拶 など
- 職場体験
- 1週間程度
- 企業実習
- 1週間程度
- 制度を利用して長期(3〜6か月)の実習
生活支援(私の場合)
- 定期的な面談
- 就職に向けて
- 生活面について
- カウンセリング
よくある悩み
- 体調が安定しない
- 休みがちになる
- 職員と、密に連絡を取り合う
- 人間関係でストレスを感じる
- まずは職員に報告&相談する
- 嫌な人を避けるようにしてもらう
- 徐々に慣らしていく
- まずは職員に報告&相談する
- 訓練が自分に合わないと感じる
- 自分だけの目標を、職員と立てる
私の体験談
通所が始まった週は張り切りすぎてしまい、
翌週の前半を休んでしまいました。
しかし、それ以降は何事もなかったかのように、
順調に訓練を重ねていきました。
大きなつまづきになったのは「イベントが重なった時」でした。
この後紹介する「就職活動」「施設外でのイベント」が連日続き、
翌週・翌月と休みがちになったのです。
無事に体調が戻り、職員さんとの面談を行った時に
「私は、物事は1つずつ片付けていくのが良い」と気づくことができました。

(管理人)
結局「人間は一人では生きていけないこと」を
痛感できました。
「就職活動」「就労定着支援」
就職支援の流れ
- 自己分析/職業適性の確認
- ハローワークなど、求人情報を活用
- 履歴書(職務経歴書も含める)の作成サポート
- 模擬面接
- 企業実習を経て応募

(管理人)
就職支援まで「最低1年間は訓練の日々」です。
その間で「自己分析」「職業適性」を
訓練・面談などで見極めていきます。
就労定着支援
就職後半年が経過すると、
最大3年間、支援員が定着のための相談・企業との調整を行うことができます。
障害がある人が会社で働き始めたあと、
仕事を長く続けられるように助けてくれる制度
- 会社・支援施設・病院など、連絡をとって問題を解決する
- 仕事/生活で困ったことを相談できる
- アドバイス/指導をしてくれる
- 就労移行支援などを使ったあと、普通の会社で新しく働き始めた人
- 働き続けて6か月以上経った人
- 病気で休んだあと復職した人も含む
詳しくはこちらから(16 就労定着支援)

(管理人)
「就労移行支援」と「就労定着支援」が
セットになっている事業所もあります。
こういう所があれば
「職員さんが一緒」「引き続き支援してもらえる」点で
非常に有効です。
私の体験談
私が就職活動中、最も役に立ったのは「履歴書の添削」でした。
「自分一人で書く」と、どうしてもわからないことだらけです。

(管理人)
おまけに「自己アピールを書く」なんて無理…
経験のある職員さんの視点でアドバイスを受けると、
ごちゃごちゃした文章から、スッキリ整理させるため、非常に助かりました。
現在は「就労定着支援」を受けており、
数ヶ月に1回、面談を受けています。
ただ「困り事があったら、いつでも相談して」
そう言われていることが、とても心強いです。
会社だけでは解決しづらい問題には、
職員さんが訪問した上で問題の分析・解決方法の提案をしてくださるので、
企業側にとっても助かる存在になっているのだと感じています。
「メリット」「デメリット」
メリット
- 「就職=ゴール」とした明確なカリキュラム
- 専門家の支援が受けられる
- 企業実習を通じて、実務経験が積める
デメリット
- 利用できる期間が「原則2年」と限られている
- 事業所ごとに「質の差」がある
- 訓練内容も異なる
- 「見学・体験実習をする」ことが非常に大切
- 就職に結びつかない場合もある
私の体験談
他の方からすれば、私がいた「1年半の利用期間」は短いです。
その間にも「好調・不調の波」があり、
「全てが予想通りにうまくいく」なんてことはありませんでした。
ただ「人間は一人では生きていけないこと」を考えると、
これまで人間不信だった私には、必要不可欠な時間だったと考えています。
なお話は変わりますが、こんな方もいました。
- 「就労継続支援B型」と「就労移行支援」を行ったり来たりする方
- 「就労移行支援」を利用して就職したが、退職して戻ってきた方
- 「就労移行支援」の利用期限内に就職できず(求人が見つからず)、
「就労継続支援B型(非雇用型)」へ移っていった方
おわりに;「自分らしく」生きていくために「就労移行支援」を利用しよう
就労移行支援は、障害のある人が一般就労を目指すための有効な制度です。
ただ、制度だけではなく
「自分に合う事業所を選ぶこと」「体験談を参考にすること」が成功のカギです。

(管理人)
最初は不安だらけでしたが、
「制度の仕組み」「支援員の存在」に助けられて
一歩を踏み出せました。
この記事が「就労移行支援ってどんなもの?」と疑問を持つ方にとって、
少しでも参考になれば嬉しいです。

(管理人)
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