電話が苦手なASDの私が気づいた克服のヒント

発達障害

「ASDなそら」管理人のそらです。

ASD(自閉スペクトラム症)当事者の視点で、

仕事や生活に役立つ情報を発信しています!

  • スマホが突然鳴ると、体が固まってしまう
  • 家の固定電話が鳴ると心臓がバクバクする
    • 非通知なら最悪…

こんな経験、ありませんか?

もしあなたがこの記事を読んでいて「あるある」と思ったなら、

きっと私と同じように「電話が苦手」なタイプかもしれません。

私はASD(自閉スペクトラム症)の特性を持っていて、

昔から電話が大の苦手でした。でも、ある経験をきっかけに、

その苦手意識が少しずつ和らいできました。

今回は、電話がなぜ苦手なのか、そしてどう向き合ってきたか、

ASD当事者である私の実体験を交えてお伝えします。

なぜ電話がこんなにも苦手なのか?

電話が苦手な理由は、

人によってさまざまですが、

私の場合はいくつかのポイントがありました。

① 突然の着信音に強いストレスを感じる

私は昔から、電子音や大きな音に過敏なタイプでした。

黒板を爪でひっかく音、金属がこすれる音など、

「ゾワッ」とする音がとても苦手です。

電話の呼び出し音もそれと似た感覚を引き起こします。

特に自宅の固定電話は、

音が大きく設定されていることが多く、

突然鳴るとドキッとします。

スマホの着信音は無音に変えていますが、

それでも「予期せぬ音」は心の準備ができていないため、

どうしても緊張してしまいます

② 相手の表情が見えない=情報が不足する

ASDの特性として「非言語コミュニケーション(表情・ジェスチャー)」に

強く依存する傾向があります。つまり、

言葉の裏にある「気持ち」や「ニュアンス」を読み取るためには、

視覚的な情報が重要なのです。

電話では、その55%以上の情報がまるっと欠けてしまう。

これは、私にとってかなりのストレスです。

「今の沈黙は怒ってる?」

「語尾が強かったけど、どういう意味だろう…?」

こんなふうに、不安がどんどん膨らんで、

通話が終わったあとも気持ちがざわざわしてしまうことがよくありました。

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③ 相手の反応がわからず、自分の伝え方にも自信が持てない

私にとっては「ちゃんと伝わっているか」が

確認できないのが大きな不安要素でした。

対面なら相手のうなずきや表情で理解度がわかるけれど、

電話だとそれがない。

声のトーンや返事の速さだけで判断しなければならないのは、

正直しんどいです。

それでも少しずつ向き合えた理由

電話克服のきっかけは「事務職に就きたい」という目標から

私が電話に少しずつ慣れるきっかけになったのは

「事務職に就きたい」という強い思いからでした。

事務職では電話応対が避けられない場面もある

そこで私は、電話の苦手意識を少しでも和らげたいと考えるようになりました。

就労移行支援での練習体験

就労移行支援を利用していた頃、

職員さんと一緒に電話練習をすることになりました。

具体的には、退勤後に自宅へ帰ったことを報告する電話を数回行うというものです。

回数は多くはありませんが、その都度、

受け答えの様子を細かく確認されました。

結果として

「受け答えも落ち着いていて、問題なくできている」と言われ、

自分でも驚きました。

このときに気づいたのが、

「電話の内容」や「会話自体」が苦手なのではなく、

  • 固定電話の着信音の刺激の強さ
  • 非通知の着信に対する不安感

この2つが私にとって強いストレスになっているということでした。

つまり「着信音や非通知の不意打ちさえなければ、

電話応対自体はそれほど苦ではない」という事実に気づいたのです。

また、自分としては電話よりもメールのほうが情報の聞き取りミスを防げるので、

より得意だということもはっきりしました。

電話が苦手=ダメじゃない

電話が苦手ということは、

逆に言えば「他のコミュニケーション手段のほうが向いている」という証拠でもあります。

私自身、電話よりもメールやチャットの方が得意です。

なぜなら以下の点、自分の特性に合っているからです。

  • 情報の聞き漏れが起きにくい
  • 誤解が起こりにくい
  • 記録が残る

電話に苦手意識があるからといって、

自分を責める必要はありません。むしろ、

自分に合ったやり方を選べる柔軟性があるということを誇っていいのです。

苦手なお菓子をたべるよりも、好きなものを食べたいですよね・・・

電話が苦手な人のための現実的な対処法

ここでは、私自身が実践してきた&効果があった方法をいくつか紹介します。

①「対面がいいです」と素直に伝える

たとえば、職場でのやり取りや人間関係において、

可能であれば「対面でのコミュニケーションが助かります」と

伝えるのは全然アリです。

「図や資料を見ながらの方が理解しやすい」

「相手の表情が見えると安心できる」

といった理由を添えれば、ほとんどの人は納得してくれます。

② メールやチャットを優先する

仕事やプライベートでも、

できるだけ「文字ベース」のやりとりを選びましょう。

  • 記録が残る
  • 返信を落ち着いて考えられる
  • 誤解を避けやすい

私も仕事の連絡は、可能な限りメールでお願いしています。

「電話より、正確に伝えられるから」と伝えると、

理解されやすいです。

③ 家族や親しい人には「電話を控えて」とお願いする

自宅の固定電話に関しては、

私は家族に「できればLINEで連絡して」とお願いしています。

最初は「なんで?」と聞かれましたが、

「電話は苦手だから」と理由を伝えたら、

理解してくれました。

通知も切ってしまうのが良いです

就活で「電話が苦手」と伝えるときのポイント

もし就職活動中で、「電話が苦手なこと」を伝える必要がある場合、

以下のように具体的に説明すると好印象です。

❌️悪い例

「電話は苦手です」


「苦手です」と言うだけでは誤解されがち

⭕️良い例

突然の大きな音に過敏で、

パニックになりやすいため、

電話応対は難しいです。

ですが、メールやチャットでの対応はスムーズに行えます


「代替手段がある」ことを伝えると、前向きな印象を持たれやすくなります

最後に:苦手を「個性」に変えていく視点を

電話が苦手だと、「社会に出てから困るのでは?」と

不安になる人も多いと思います。でも、

今はコミュニケーション手段が多様化しており、

電話以外の手段も十分に通用します。

  • 電話が苦手なら、他の手段を磨けばいい
  • 自分が安心して話せる環境を選べばいい
  • 苦手なことを無理に克服しなくても、生きていける

これは私が就労移行支援や実体験の中で学んできたことです。

電話が苦手でも、自分なりの方法で社会とつながることは可能です。

そして、そういった方法を「自分らしさ」として堂々と選べるようになることが、

ASD当事者の私たちにとっての「生きやすさ」なのではないでしょうか。

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