「ASDなそら」管理人のそらです。
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「無意識に考えすぎてしまう」
そんな悩みにぶつかったことはありませんか?
- 気がついたら同じことを何度も頭の中で考えている
- 考えているうちに10分、30分があっという間に過ぎる
- 夜、ベッドに入っても思考が止まらず眠れない
- ふと気づくと、食事の時間を忘れている
私自身、このようなことで悩んでいました。

寝つけない、食事を忘れる、仕事や勉強が手につかない——
こうした影響が日常生活に及ぶこともありました。
「どうしてこんなに考えすぎてしまうんだろう?」
この疑問に向き合い、自分の思考のクセを理解することで
「このままの自分でいいんだ」と思えるようになりました。
同じように「考えすぎる」ことに苦しんでいるあなたに向けて、
この記事では、ASDの特性としての「深く考えすぎる思考」と
その付き合い方についてお伝えしたいと思います。
ASDの特性としての「深く考える」思考
私は自閉スペクトラム症(ASD) とともに生きています。
その中で特に強く現れる特性のひとつが、
「1つの物事を深く考え込む」というものです。
「考えること自体は悪くないのでは?」と思う方もいるかもしれません。
しかし、この特性が日常生活や仕事に支障をきたすこともあるのです。

【実体験】「考える人」になってしまった出来事
私が就労移行支援事業所で作業訓練をしていたときのことです。
ある企業へ納品する商品の作業が終わり、
私は不要だと思った箱を処分しました。

ところが、本当は次の作業で使う箱だったのです。
他の利用者さんが「その箱、取っておくルールだったよね?」と教えてくれました。
作業場では、箱に「中に入っている商品の数」や
「次の作業で箱を使うかどうか」 を示す札(ラベル)をつけて
管理するルールになっていました。
箱に「箱は必要!」と書かれた札 ➡️ その箱は次の作業で再利用する
逆に「箱は不要!」と書かれている ➡️ 処分してOK
しかし私は、作業の開始時につけられた札しか見ておらず、
その後の変更に気づかずに処分してしまったのです。
このとき、私の頭の中にはある疑問が浮かびました。
- なぜ札をつけるルールがあるのか?
- どのタイミングで札の情報が変わるのか?
- どうすれば札の情報を間違えずに確認できるのか?
作業自体はその場で中断しなかったものの、
私はこの疑問が頭から離れなくなり、家に帰ってからもずっと考え込んでしまったのです。
「知りたい」「納得したい」
その気持ちが強すぎて、他のことが手につかなくなりました。

なぜ「考えすぎてしまう」のか?——ASDの脳の特性
ASDの人は論理的思考が得意で、
物事の仕組みを理解しようとする傾向が強いと言われています。
そのため「ルールや決まりごとの背景を知りたい」
「何かをやる理由を納得したい」という気持ちが人一倍強くなるのです。
具体的には、以下のような特徴があります。
✔ ルールや仕組みの背景を深く知りたくなる
✔ 答えが出るまで考え続けてしまう
✔ 曖昧な状況に不安を感じる
✔ 納得できないと、次の行動に移れない
これらの思考パターンがあるため、
一度「考え始めると止まらない」ことがよくあります。
「考えすぎ」を活かすためにできること
「考えすぎてしまう」という特性は、ネガティブに捉えがちですが、
見方を変えれば大きな強みにもなります。
例えば、
✅ 物事を論理的に分析できる
✅ リスク管理が得意
✅ 細かいミスに気づきやすい
などの能力につながります。
しかし、これが行き過ぎると頭の中が思考でいっぱいになり、
行動に移せなくなることもあります。
そこで、次のような対策を意識してみましょう。
「考える時間」を意識的に区切る
考えすぎてしまうときは「制限時間」を設けることが有効です。
例えば、
- 考えるのは10分だけと決める
- タイマーをかけて、その時間が来たら切り替える
- 紙に書き出して、頭の中でグルグルしないようにする
こうすることで、延々と考え続けることを防げます。
「5W1H」で整理して、思考をスッキリさせる
ASDの人は「何がわからないのか」を整理するのが苦手なことがあります。
そこで5W1H(いつ・どこで・誰が・何を・なぜ・どうやって) の
フレームワークを使ってみましょう。
例:仕事でミスをしてしまった場合
✅ 何を間違えた?(What)
✅ どうして間違えた?(Why)
✅ どうすれば防げる?(How)
このように整理すると、考えがまとまりやすくなります。
「今できること」にフォーカスする
「考えすぎる」ときは過去の出来事や未来の不安にとらわれがちです。
そんなときは「今、できること」に意識を向けるのが大切です。
例えば、
✅ 仕事でミスをした
→次にミスしないためにできることを考える
✅ ルールが気になる
→今の仕事に支障が出ない範囲で調べる
といった感じで「考えることを行動につなげる」のがポイントです。
まとめ:「考えすぎる自分」を受け入れ、強みに変えよう
ASDの「考えすぎる」という特性は、
一見デメリットのように思えるかもしれません。
しかし、見方を変えれば大きな武器になります。
「考えすぎる」自分を責めずに、
適切な方法で活かすことを意識してみてください。
あなたの「考える力」は、きっとどこかで大きな価値を生むはずです。
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