障害当事者に必要な「自己受容力」

発達障害

「ASDなそら」管理人のそらです。

ASD(自閉スペクトラム症)当事者の視点で、
仕事・生活に役立つ情報を発信しています(^^)

私たち障がい当事者が日々向き合っているもの。
それは、社会の偏見や制度の不備だけではありません。

もっと根本的で、もっと深く心に関わってくるもの。
それは「自分自身をどう見るか」という視点、
つまり【自己受容】というテーマです。

これは発達障害(神経発達症)に限らず、
「障害」と言われるものすべてに該当します。

  • 身体障害
  • 精神障害
  • 知的障害 など どの障害種別であっても

自己受容ができているかどうかで、生き方は大きく変わります。

この記事では、ASD(自閉スペクトラム症)に限らず、
すべての障がい当事者が通るであろう
【ありのままの自分を受け入れる】ことについて、
正直な思いとともに言葉にしてみます。

「障がい」とは何か —定義と現実

まず最初に、
私たちが直面する「障がい」という言葉について考えてみましょう。

一般的に、障がいは「身体的・精神的な機能に制限がある状態」とされています。

(参考)定義に関する規定

障害者基本法(昭和45年法律第84号)

(定義)第二条
  この法律において「障害者」とは、身体障害、知的障害又は精神障害があるため、
 継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける者をいう。

障害者自立支援法(平成17年法律第123号)

(定義)第四条
  この法律において「障害者」とは、身体障害者福祉法第四条に規定する
 身体障害者、知的障害者福祉法にいう知的障害者のうち
 十八歳以上である者及び精神保健及び精神障害者福祉に関する
 法律第五条に規定する精神障害者(知的障害者福祉法 にいう知的障害者を除く)のうち
 十八歳以上である者をいう。

 2
 この法律において「障害児」とは、児童福祉法第四条第二項に規定する
 障害児及び精神障害者のうち十八歳未満である者をいう。

厚生労働省「障害者の範囲(参考資料)」より

しかし、現実はもっと複雑です。

同じ診断名でも困りごとは人によって違い、程度もさまざまです。
そしてそれ以上に大きいのが「社会との関係性の中で生じる障壁」です。

たとえば…
  • 車いすを使っていても、バリアフリーの環境なら自由に移動できる
  • 発達障がいがあっても、特性に合った仕事なら能力を発揮できる

つまり、障がいとは「障がい者本人が悪い」のではなく、
「社会
政治側が、十分に配慮されていない状態」によって生じる部分も多いのです。

だからこそ【障がい】という名称に縛られず、
「今、自分が何に困っていて、何があれば楽になるのか」を見つめ直すことが、
自分らしく生きるための第一歩になります。


自己受容が難しい理由

「自分をありのまま受け入れることが大事」とはよく言われます。
でも、それが簡単じゃないことも、私たちはよく知っています。

① 周囲の「無理解」と「偏見」

「頑張ればできる」でしょ?

「あなたは軽度」だから配慮はいらないよね?

こういった言葉は、私たちがどれほど努力し、
日々の生活をこなしているかを無視したものです。

まるで、困っている自分が悪いかのように感じてしまいます。
これでは、自己受容どころか、自己否定を深めることになってしまいます。

そら<br>(管理人)
そら
(管理人)

「頑張る」という言葉自体が
障がい者には似合わない
と考えています。

普段から見えない努力をしているにも関わらず、
心無い言葉をかけられると
寝込んでしまうのは、当然の結果かもしれません

② 社会の「普通」とのギャップ

私たちは知らず知らずのうちに、
「こうあるべき」という枠に自分を当てはめてしまいます。

フルタイムで働くべきでは…

人と同じようにできて当たり前、なのでは…

でも、本当は違っていいのです。

「多数派の基準=正解」とは限りませんし、
「自分に合ったやり方=「楽な方」に『逃げている』」でもありません。

そら<br>(管理人)
そら
(管理人)

この気づきに至るまで、相当時間がかかりました。

多くの経験をしないと、たどり着けませんでした…


③ 自分を責めてしまうクセ

  • 完璧主義(例:〜しなければならない)
  • 白黒思考(ゼロヒャク思考)
  • 自己否定(例:なんでこんな事もできないのか…)

これらはASDの特性にも関係しますが、
障がいを持つ多くの人が共通して持っている「自分に厳しすぎる」傾向です。

自分がもっと頑張れば…

みんなはできているのにな…

そんなふうに自分を追い込んでしまうことが多いです。

そら<br>(管理人)
そら
(管理人)

私も無意識のうちに、ネガティブ思考になってしまいます…
実例を紹介します。

このまま仕事を続けていいのだろうか…
 ➡️ 負の思考のループに入ってしまう
    「こんなんじゃダメだ…」
    「もっと努力しないと…」
 ➡️ 考えすぎてしまう
 ➡️ 翌朝、頭痛で仕事を休んでしまう

でも本当は、自分を責めることではなく、
自分をいたわることこそが前に進む力になるのです。


自己受容は「職業準備性ピラミッド」の「土台」

キャリア支援やリワーク支援の現場では、
「職業準備性ピラミッド」という考え方があります。

その一番下の土台にあるのが、
まさに「自己受容」です。

理由
  • 自分を受け入れていない
    ➡️ 「無理な目標を設定」して疲弊する
  • 弱みを認められない、見つけられていない
    ➡️ 「支援」「配慮」を求められない
  • 他人と比較して、自己否定を続けてしまう
    ➡️ 自信を失ってしまい、働くこと自体が怖くなる

自己受容ができているかどうかで「人生の難易度」は全然違います。

自己受容が「できていない人」の特徴

  • 他人のせいにする(他責)
  • 自分を過剰に否定したり、過剰に正当化したりする
  • 支援を「甘え」と捉えて、拒否する
イメージ

自己受容が「できている人」の特徴

  • 弱さを隠さない
  • 自分のペースで、働き方を調整できる
  • 周囲に対して、説明ができる

この違いは、単なる考え方の違いではなく、生き方全体に影響します。


自己受容のステップ

では、自己受容とはどう進んでいくものなのでしょうか。

明確な「ゴール」があるわけではありませんが、
ざっくり言うと以下のようなステップがあります。

自分を受け入れる方法(段階別)
  1. 違和感や生きづらさに気づく
  2. 診断・特性の理解
  3. 拒否や混乱を経る
  4. 自己否定と他人との比較に悩む
  5. 自分の特性を再定義し始める
  6. 他者との関係性を見直す

このプロセスを一歩一歩進んでいく中で、
「こうでなければ」という思い込みから解放され、
「こういう自分でもいい」と思えるようになっていきます。


自分を受け入れた先にあるもの

自己受容は、何も「理想の自分になれたからするもの」ではありません。

「ダメな部分も含めて、これが自分なんだ」と思えたとき、
自分との関係が穏やかになります。

そのように考えられるようになると…
  • 支援を素直に頼めるようになる
  • 自分のリズムを守る選択ができる
  • 無理な期待を手放せる

こうして「少しずつ」「ラクに生きられる道」が見えてくるのです。

自己受容は、自分を弱くするものではなく、
逆に「強くしなやかにする力」を持っています。

そら<br>(管理人)
そら
(管理人)

精神科医Youtuber、益田先生も
『しなやかな思考』を手に入れることの
重要性を説いています。

詳しくはこちらから


他者との関係も変わる

自分を受け入れることで、周囲との関係性にも変化が出てきます。

  • 「説明すれば伝わる人」
    ➡️ 見つけられる
  • 「理解してくれない人」
    ➡️ 適切な距離をとれる

  • 「配慮してもらう(求める)」
    ➡️ 後ろめたさ(恥ずかしさ)を感じなくなる

無理して合わせようとして疲れることも減り、
人とのつながりも楽になります。


おわりに:自己受容はゴールではなく「スタート」

最後に一番大切なことをお伝えします。

そら<br>(管理人)
そら
(管理人)

自己受容は「人生を諦めること」ではありません。
むしろ、そこからがスタートです。

  • ありのままの自分を土台にする
  • 合わないものは避ける
  • 得意なことを活かす
  • 自分に合ったリズムで生きていく
そら<br>(管理人)
そら
(管理人)

それが「人としての尊厳を取り戻す」ということである。
私はそう思っています。

私たちは「普通」にならなくていい。
「自分らしく在る」ことこそが、かけがえのない価値なのです。

読んでくださっているあなたが、
もし今「自分を受け入れられない」と悩んでいるのなら、
どうか焦らないでください。

一気に受け入れられる人なんて、いません。
今日は自分を責めなかった、それだけで十分です。

どんな形であれ「自分の人生を歩いていること」
そのこと自体が、あなたの力であり、価値です。

そして、あなたがあなたを大切にしようと思える日が、
必ず来ます。

そのときまで、どうか無理せずに、
ゆっくりと歩んでいきましょう(^^)

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